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  • 執筆者の写真York Faulkner

核酸シークエンシング特許はクレーム範囲全体の実施可能開示が不足

更新日:2021年5月19日



Pacific Biosciences of California, Inc. v. Oxford Nanopore Technologies, Inc., No.20-2155(Fed.Cir.2021年5月11日)において、合衆国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、PacificBio社の特許請求項を無効とした陪審員の評決を覆すことを断念した。


この事件では、PacBio社は、Oxford社が2つの米国特許を侵害しているとして、デラウェア地区合衆国連邦地方裁判所にOxford社を提訴した。これらの特許は、DNAなどの核酸シークエンシングする「ナノポア」法を請求するのである。ナノポアはナノスケールの穴であり、ナノポアが組み込まれた基体では、イオン電流がナノポアの中を流れて、そしてナノポアの中やナノポアの近くを、核酸が通過するときに発生する電流の変化が計測される。電流の変化を読み取ることで、その核酸シークエンスを同定することができる。


地方裁判所では、陪審員は、被告Oxford社が原告の主張していたすべての特許請求項を侵害していることを認めた。しかし、陪審員は、特許明細書では、当該ナノポア技術の全体を実施するための十分な情報が開示されていないため、各特許請求項は無効であると評決した。連邦地裁は、PacBio社の再審の申し立てを却下した。Pacific Biosciences of California, Inc. v. Oxford Nanopore Technologies, Inc., Nos. 1:17-cv-00275-LPS, 1:17-cv-01353-LPS (D. Del. March 31, 2020)を参照。


控訴審において、CAFCは、米国特許法の下で、特許権者はクレームされた発明の全範囲を実施するための方法を説明することが義務つけられていると指摘した。Id. (35 U.S.C. § 112を引用)。裁判の証拠によると、特許明細書に記述された実施例は、短い合成核酸のシークエンシングに限定されている。しかし、特許では、合成核酸だけでなく、DNAを含む自然に存在する生物学的核酸をシークエンシングする方法を広くクレームされている。実際、ナノポア法により、自然に存在する生物学的DNAのシークエンシングに初めて成功したのは、特許の優先日から2年後のことである。


したがって、CAFCは、特許クレームの全範囲に対して実施可能の開示が不足であるため、陪審員の特許無効の評決が裁判証拠に十分基づいてるものであると結論づけた。

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